「果たし得ていない約束―私の中の二十五年」三島由紀夫

三島由紀夫

はじめに

作家の三島由紀夫の評論の一部を掲載します。
この有名な評論は、1970年(昭和45年)、『サンケイ新聞』(夕刊)7月7日号に掲載されたものです。
日本の現在を予言していると言われますが、三島由紀夫と言えども、2010年代後半の日本が経済大国の地位から転落しつつあるという状況までは予見できなかったのかもしれません。

三島由紀夫が戦った「戦後民主主義」が作り出した「米軍基地の存在を恥にも思わない自称保守連中」は大規模な移民政策に舵を切りました。
保守だとか右翼だとか愛国者たちは一体何を保守しているのでしょうか?
数十年以内に三島が考えた文化的な意味での「日本」はなくなるでしょう。

三島由紀夫「果たし得ていない約束―私の中の二十五年」抜粋

二十五年前に私が憎んだものは、多少形を変えはしたが、今もあいかわらずしぶとく生き永らえている。生き永らえているどころか、おどろくべき繁殖力で日本中に完全に浸透してしまった。それは戦後民主主義とそこから生ずる偽善というおそるべきバチルス(つきまとって害するもの)である。

~略~

 私はこれからの日本に大して希望をつなぐことができない。このまま行ったら「日本」はなくなってしまうのではないかという感を日ましに深くする。日本はなくなって、その代わりに、無機的な、からっぽな、ニュートラルな、中間色の、富裕な、抜目がない、或る経済的大国が極東の一角に残るのであろう。それでもいいと思っている人たちと、私は口をきく気にもなれなくなっているのである

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