悲惨な氷河期世代の上級国民への復讐方法を考える

吉田喜重『戒厳令』より

はじめに

団塊の世代の引退と若者人口の減少により労働市場は人手不足、新卒者は空前の売手市場を謳歌しています。
その一方、1990年台後半から2000年台半ばに学校を卒業した就職氷河期世代は、30代後半から40代前半に差し掛かっています。
悲惨な就職環境の中、ある者は耐えきれず自殺し、ある者は未だ非正規雇用、正規雇用でも低賃金の苦しみに喘いでいます。
年齢を重ねた非正規雇用の氷河期世代の人々は、企業から年齢制限とスキルのなさで無視され、政府による対策も稀です。
彼らの中には経済的にも精神的にも「どうしようもない状況」となっている人たちが少なくありません。
この記事では就職氷河期世代で今悲惨な状況にある人々がテロを行うのを肯定すべきかどうか考えてみます。

若者との残酷な対比

2000年大卒の就職率が55.8%に対して、2018年大卒の就職率は98%とのことです。
今は第二新卒という枠があり、既卒も就職する道がありましたが、1990年代から2000年大半ばには既卒者は犯罪者のような扱いを受けました。
また、ブラック企業、パワハラ、セクハラが当たり前だった旧世代に比較して、今の若者は圧倒的に幸運な状況です。
マスコミやSNSによりブラック企業、パワハラ、セクハラは徹底的に批判されます。
2000年代初頭は「自己責任」と「根性論」が声高に叫ばれ、「今の若者が就職できないのは根性がないからだ」、「就職できないのは努力しなかったから自己責任」、「すぐに辞めるのは甘えだ」、「非正規・フリーターは夢ばかり追っている」などと罵倒されました。
2000年卒の私が20代で就職活動していた時、面接官から「大学出てフリーターばかりでろくでもないやつばかりが面接に来る」、「無職の役立たず」と散々罵倒されました。
あれから15年以上たっても面接官と称する連中への激しい怒りを思い起こさせる程のトラウマとなっています。
単純化しすぎでしょうが、「就職がしやすく就職した後も苦労が少ない」若者と、「就職しづらく就職できたとしても苦労が多い」氷河期世代という対比ができるのかもしれません。

上級国民の犠牲者としての氷河期世代

氷河期世代の一部の不幸の原因は上級国民の利権です。
景気を悪化させた1997年の消費税増税、バブル崩壊後の経団連企業の新卒一括採用を維持したままの採用の絞り込み、1990年代から2000年代における人材派遣の規制緩和などは、経団連、自民党、財務省などの上級国民集団が自分達の利権のために主導したものであり、氷河期世代の不幸の要因は上級国民の利権のためであると断じざるを得ません。
「自己責任論」を安易に広めたマスメディアも上級国民の仲間です。
そもそもコネや血縁が跋扈し実力主義ともっとも遠いのが、自己責任論を強く叫ぶ、政治家、マスメディア連中であることは言うまでもありません。

氷河期世代の復讐について

不幸な人間が救済されなかった場合に、復讐する権利を持っています。
歴史を振り返れば、多くのテロや暗殺は上級国民への復讐として行われてきました。
氷河期世代の一部は復讐をしつつあるか復讐を考え始めています。

1.生活保護を受ける

ネット上の書き込みで散見されています。
非正規雇用は雇用が不安定です。
働けなくなった時に生活保護を堂々と受けることで生き延びると同時に、政府の財政を悪化させようという復讐方法です。
氷河期世代が60代近くになった時に社会問題として顕在化するでしょう。

2.サイレントテロ

私の記憶が正しければ2010年頃から出始めているキーワードで、マスコミに踊らされて消費をしない、結婚しない、子供を作らない、必要以上に働かないことで、日本経済を悪化させようという消極的なテロ思想です。
実践者は少なくないと思われますが、実践者の数も影響の度合いも不明です。
この思想の実践の帰結は、移民導入、日本人の民族的衰退でしょう。

3.選挙による投票

暴力に頼らない民主的な手法です。
選挙で自分たちに不利な政策を行った政治家を落選させ、政党の議席を減らす復讐方法です。
氷河期世代の人口ボリュームを考えると、一定の効果的が期待できるはずです。
しかし、悲しいことに、氷河期世代の中に格差があり、意見は一枚岩ではありません。
大企業正社員と非正規雇用の労働者では政治的な意見に大きな差があるでしょう。
非正規氷河期世代にもかかわらず、その原因となった自民党を支持するネトウヨも少なくありません。
残念ですが、現実的に希望を持つことができない手法でしょう。

4.デモ

やらないよりはやった方が良いが効果は限定的です。
2010年代特定秘密保護法、集団的自衛権などの法律や政府へ反対の意思表示をすることを目的として、数多くのデモが行われましたが、影響力を持ったことはありませんでした。

5.テロ・暗殺(直接行動)

もっとも直接的で、分かりやすい復讐方法ですが、未だ実践した者はいません。
インターネット上で氷河期世代はテロをする権利を持った唯一の存在であるという論を見かけたことがあります。
2008年の「秋葉原通り魔事件」は氷河期世代のテロとも言われましたが、そもそも上級国民を狙っていないので、単なる殺人事件に過ぎないでしょう。
政治家、官僚、経団連幹部など権力を持つ上級国民に体をぶつける勇気ある復讐者は誰もいません。
日本人特有のお上への恐れが背景にあるのでしょうか?
将来実際に行動するものが現れるのでしょうか?

おわりに

安全地帯にいる評論家だの学者がどんな綺麗事を言っても無意味です。
悲惨な境遇にいる人間の憎悪や復讐意欲を消し去ることはできません。
氷河期世代が不幸になったことに上級国民に責任があるなら、上級国民はその報いを受けることを否定する論理はありません。
それこそ「自己責任」である。

ページ上部へ戻る